附録

用語解説

CP/M で使用される用語を簡単に説明します。

[デバイス]
仮想化された入出力装置です。CP/M では、1文字単位の入出力をサポートする、所謂、キャラクタデバイスのことで、ディスクドライブ(ブロックデバイス)は通常含みません。CP/M では、論理デバイスと物理デバイスと呼ばれる 2 階層のデバイスがありますが、どちらも仮想化されたものです。現在、CP/M エミュレータでは、物理デバイスはサポートしていません。現在サポートしているデバイスは、論理デバイスである CON: (コンソール、キーボードと CRT) と PRN: (プリンタ) です。
[コンソールコマンドプロセッサ(CCP)]
いわゆる、シェルです。Macintosh のファインダのように、最初に立ち上がってファイル管理や、アプリケーションの起動を行いますが、文字を用いたコマンドを使用します。Macintosh のビジュアルシェルに対して、コマンドシェルと呼ばれます。UNIX での sh や csh、MS-DOS の COMMAND.COM に対応します。
[コントロールキー]
通常の端末(電話回線等を通じてコンピュータと接続する入出力機器)のキーボードにある、制御コード入力用キーです。このキーを押しながら英 字キーなどを押すと、本来の文字コードより $40 少ないコードを入力できます。例えば、'A' キーをコントロールキーを押しながら押すと、'A' の文字コード $41 から $40 を引いたコード $01 を入力できるわけです。もともとは、通信機器の制御用ですが、寧ろ、旧式のエディタの制御用等に多用されました。また、本来制御コードが不要なはずのパー ソナルコンピュータのキーボードにも、互換のためにこのキーがあるものが多いようです。
[CCP コマンド]
CCP のコマンドは、<コマンド名><空白><パラメータ> の一般形で与えられます。ただし、パラメータは必ずしも必要とは限りませんし、1 つとも限りません。いずれにしても、CCP は、コマンド名の部分でコマンドの種類を判定します。
[プロンプト]
コマンド入力を促す画面上に出力される文字列です。システムがコマンド入力可能であることを示します。一般にコマンドを用いたアプリケーショ ンや CCP によって表示されますが、スクリーンエディタやワープロ等では使用されないこともあります。代表的なものは、CCP の A> プロンプトや DDT 等の * プロンプト、BASIC の Ok プロンプトがあります。
[ワイルドカード(キャラクタ)]
主にファイル指定に使用される、任意の文字を示す記号です。トランプのジョーカーからきた言葉です。 (詳しくは、ファイル名の章で説明しました)
[カレントドライブ]
ドライブ名を省略した場合、実際には特定のドライブを指定したものとみなします。CP/M の場合は、カレントドライブを指定したものとみなします。カレントドライブは起動時にはドライブ A: が指定されますが、コマンドによって任意のドライブに変更できます。
[ビルトインコマンド]
コマンドは CCP によって起動されますが、このうち、CCP 内部に含まれているコマンドを、後で述べるトランジェントコマンドに対してビルトインコマンドと呼びます。
[トランジェントコマンド]
CCP によって起動されるコマンドであっても、実際には CCP とは別にファイルとして保存されているコマンドをトランジェントコマンド(トランジェントプログラム)と呼びます。この中には、ユーザが作成したプログラ ムを含みます。トランジェントコマンドは実体であるファイルが無ければ実行できません。
[トランジェントプログラムエリア(TPA)]
トランジェントコマンド(トランジェントプログラム)を実行するためのメモリエリアです。つまり、ユーザプログラムが実行されるユーザエリア でもあります。
[実行ファイル (.COM ファイル)]
トランジェントプログラムの実体のファイルは、CP/M の規約では、拡張子は必ず .COM で無ければなりません。逆に言えば、拡張子が .COM のファイルがトランジェントプログラムであるといえます。このファイルを、特に実行できるファイルという意味で、実行ファイルと呼びます。実行ファイル名 の拡張子を除いた部分がコマンド名です。
[テキストファイル]
表示可能な文字や、CR、LF、TAB 等の一部の制御コードのみからなる、テキストとして表示可能なファイルをテキストファイルといいます。ED や WM 等のエディタで作成されたファイルとも言えます。アセンブラ等のプログラムのソースファイルやリストファイル等が代表的な例です。Macintosh のエディタで作成したファイルもテキストファイルですが、残念ながら、CP/M と Macintosh では形式が違います。詳しくはデータ変換の章を参照してください。

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